小さな幸せ、少しの…。

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ロイド考

 安堂ロイド、いろいろ面白くて深読みしまくりです。そんな私、今回もロイド考です。ネタバレ含みますよ。では。 はい、ここからネタバレ含みますよ〜




























最終回の本当にラストで、ARX II - 13 をプリントアウトしますか?みたいなくだりが出てきてロイドが復活するって感じで終わりました。

この伏線、続きがあれば見たいなぁ、と思わせる物がありますね。最終回のロイドの感情の揺れが切なかった。ロイドサイドと黎士サイドと見比べるとまた深い、っていうか。

「黎士」という人物は初回と最終回、あとは麻陽の回想で出てきただけです。あ、データボックスの状態では出てましたね。全ての謎が語られた訳ではありませんが殺された後、脳データの状態で100年を過ごし、麻陽を護るためにゼロクラウドを構築、ARX II - 13を作り出し送り込んだ。このプランを殺される前から準備していたのか、データ化されてしまってから構築したのかは解りませんが…

ARX II - 13を黎士に似せて作った、そうなるようにしむけたのは本人だと考えるのが妥当でしょう。麻陽を護る為に側にいてもおかしくない容姿、と考えると「黎士」の姿が一番自然だから。どんな思いで成し遂げたのか。想像する余白がたっぷりありますよね。

護りきる事が出来たら当然彼女の元に戻りたい、って気持ちもあっただろうから黎士(自分)に似せて作ったARX II - 13のボディを使用する、って事もプランだったはずです。そう考えると戻る時になるべく生身に近い状態で戻りたいはず。それについてはヒントとしてアスラシステム起動のシーンかな、と思います。

あのシーン、起動するときに心臓の鼓動がCGで動脈、静脈で機能しているのが全て一色に変わる、というあのシーン。アンドロイドであるはずのロイドには心臓がある、って事です。限りなく生身に近い、けれど作り物。アスラシステムの起動回数に制限があるのも生身の部分(と言っても合成品、だろうけど。)が耐えきれなくなるから、って裏設定だろうか、とか。

全ては麻陽を護りたい、って体を失って脳データだけになってもあがき続けた結果です。唯一誤算があるとするならば、最終的に戻る先として準備していたARX II - 13が麻陽の事を「愛した」事でしょうね。麻陽の為に体を譲る事を決めたロイドの「愛」も大きなものだったと思います。まぁ、もしかしたらデータチップがあれば再生出来るからその場はいったん引いたのかも知れません。

ロイドのデータチップが抜け、黎士の脳データが戻ったとき、アンドロイドとしての機能は停止していますから、多分普通の生身の状態とさほど変わらない状態になっているのでしょうね。生身の体ではなくても還りたい、と思っていた訳で。当然というか黎士にはアンドロイドの機能は使いこなせないでしょう。

そうなってもしも。

もしも再び麻陽に危険が及んだら。ロイドは再び戻ってくるような気がします。それこそ黎士から麻陽を奪う勢いで。でもそうはしないでしょうね。

抱きしめられる最後のチャンスでもそれをしなかった。抱きしめるべき腕は自分ではなく、「黎士」であるべき、と。同じ姿・形であるから余計そう感じた、なんて。

多分小説版は内容が微妙に違うはずです。ドラマでは語られなかった部分が語られる可能性も。全3冊なので要チェックですね。

私が想像していた黎士の記憶の中に沈み込むロイドの記憶、ってパターンは外れましたけどね。麻陽が危なくなったら突然ロイドが浮上して助ける、とか。黎士VSロイドって可能性も捨てきれないな…

いろいろ刺激される作品でした。